インボイス後フリーランスはどうすべき?免税事業者の判断基準

前橋・高崎の清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。小規模事業者や創業者専門の税務・会計「まるっと代行」で、群馬県の小規模事業者や創業者を支援しています。
インボイス制度がスタートしてしばらく経ちますが、前橋市や高崎市で活動されている一人親方やフリーランスの方から、今でも非常によくいただくご相談があります。
「周りの人は登録しているみたいだけど、自分はまだ免税事業者のままです。結局、どうするのが正解なんですか?」というお悩みです。
「登録しないと仕事がもらえるなくなるかもしれない」「でも登録したら消費税を払わなければならないから損をする」と、板挟みになって迷われている方が本当に多いのです。
今回は、まだインボイスに登録していない免税事業者(売上1,000万円以下の事業者)の皆様に向けて、登録すべきかどうかの「一番シンプルな判断基準」と、負担を軽くするための制度について、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
目次
インボイス登録をするべきか?判断基準は「誰から仕事をもらっているか」
インボイス制度に登録して課税事業者(消費税を納める事業者)になるべきかどうか。迷った時は、ご自身の売上の大部分が「誰から支払われているか」を考えてみてください。
取引先が「一般の消費者(BtoC)」 メインなら登録は不要
もしあなたのビジネスが、一般の消費者(個人のお客様)を相手にするものなら、インボイスに登録する必要はほとんどありません。
例えば、一般家庭向けのハウスクリーニング、個人向けの美容院、学習塾、個人向けのイラスト作成などです。
一般のお客様は、消費税の申告をすることはありません。そのため、あなたがインボイスの登録番号が記載された請求書やレシートを出さなくても、お客様が困ることは何一つないのです。今まで通り、免税事業者のままで問題ありません。
取引先が「企業や事業者(BtoB)」 メインなら登録を検討する
一方で、仕事の相手が「会社」や「個人事業主」である場合は、インボイス the 登録を前向きに検討する必要があります。
例えば、元請けの建設会社から仕事をもらう一人親方、企業から記事の執筆を請け負うWebライター、会社向けにシステムを組むフリーランスのエンジニアなどです。
この場合、あなたがインボイスに登録していないと、取引先である会社が国に納める消費税の負担が増えてしまうという仕組みになっているからです。
登録しない(免税事業者のまま)場合のリスクと注意点

では、取引先が企業であるにもかかわらず、インボイスに登録せずに免税事業者のままでいると、どのようなことが起こるのでしょうか。
取引先からの値下げ要求や契約見直しの可能性がある
あなたがインボイス(適格請求書)を発行できないと、取引先の企業はあなたに払った消費税分を、自分の会社の税金計算から差し引くことができなくなります。つまり、取引先が「損」をしてしまうのです。
そのため、取引先から「インボイスに登録してほしい」とお願いされたり、「登録しないなら、その分の消費税を値引きしてほしい」と交渉されたりする可能性があります。最悪の場合、インボイスを登録している他の業者に仕事を切り替えられてしまうリスクもゼロではありません。
経過措置があるため、慌てて登録しなくても良いケースも
「じゃあ、すぐに登録しないと仕事がなくなる!」と焦る必要はありません。
実は、インボイス制度には「経過措置」というルールが設けられています。制度が始まってから一定期間(数年間)は、免税事業者からの仕入れであっても、取引先は消費税の一定割合(現在は80%)を差し引くことができるようになっています。
そのため、「今はまだ免税事業者のままでいいよ」と言ってくれる取引先も多く存在します。
登録する(課税事業者になる)場合のメリットと負担軽減策
「取引先に迷惑をかけたくないから登録しよう」と決めた場合、どのようなメリットや負担があるのでしょうか。
登録番号があることで、新しい法人取引先を開拓しやすくなる
インボイスに登録して「登録番号」を取得すると、取引先はあなたに安心して仕事を発注できるようになります。今後、新しく企業と契約を結ぼうとする際、「インボイス対応済み」であることは、最低限のビジネスの条件として見られるようになってきています。信用力が高まり、営業がしやすくなるのは大きなメリットです。
消費税の支払いが不安?「2割特例」を使えば負担は大幅に減る
インボイスに登録して一番ネックになるのが、「今まで払っていなかった消費税を納めなければならない」という点ですよね。
しかし、これにも救済措置があります。それが「2割特例」という制度です。
これは、インボイスを機に免税事業者から課税事業者になった人に限り、納める消費税の額を「売上として受け取った消費税の2割だけでいいですよ」と大幅にオマケしてくれる特例です。
例えば、売上が500万円で消費税50万円を受け取っていた場合、本来なら仕入れなどを計算して税額を出しますが、この特例を使えばシンプルに「50万円の2割=10万円」を納めるだけで済みます。計算も簡単ですし、税金の負担もかなり軽く抑えることができます。
ただし、この特例を利用できるのは令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。例えば、3月決算法人の場合は令和9年3月決算までとなりますので注意が必要です。
結局どうすべき?税理士からのアドバイス
「周りがどうしているか」「ネットにどう書いてあるか」だけで決めるのは危険です。
自分の取引先と話し合って決める
私からアドバイスできる一番の解決策は、「主要な取引先と直接話し合うこと」です。
「私は今、免税事業者ですが、インボイスに登録した方がよろしいでしょうか?」と率直に聞いてみてください。「うちはどちらでも構わないよ」と言われればそのまま免税事業者でいればいいですし、「登録してほしい」と言われれば、今後の付き合いを考えて登録するのが賢明です。
「インボイス制度と免税事業者の対策」まとめ
- 判断基準は取引先の属性
インボイス登録の判断基準は、取引先が「一般消費者」か「企業」かで決まります。 - 企業相手はリスクを考慮
相手が企業の場合、登録しないと値引きや契約打ち切りのリスクが生じます。 - 登録後は「2割特例」を活用
登録して消費税を払うことになっても、2割特例を使えば税負担は軽く済みます。 - まずは主要な取引先に確認
方針に迷ったら、一番仕事をもらっている取引先に直接確認するのが一番確実です。
インボイスに登録するかどうかの判断や、登録した後の複雑な確定申告は、一人親方やフリーランスの方にとって大きな負担になります。もしインボイスのことでお悩みでしたら、ぜひお気軽に群馬県前橋市・高崎市の清水税理士事務所へご相談ください。当事務所では、小規模事業者様や個人事業主様向けに、インボイス登録のシミュレーションから、日々の領収書や請求書の丸投げ(記帳代行)、そして正確な確定申告までを「まるっと代行」でサポートしております。「税理士はサービス業」をモットーに、どんな素朴な疑問でも大歓迎です。初回のご相談は無料で承っており、しつこい営業などは一切いたしません。皆様が安心して本業に専念できる環境づくりを全力でお手伝いいたします。
執筆者紹介

税理士 清水 一臣しみず かずおみ
清水税理士事務所 代表
群馬県前橋市・高崎市を中心に活動する清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。元営業マンの経験を活かし、社長ひとりや従業員数名の小規模な会社様の税務・会計を「まるっと代行」し、本業に集中できるようサポートしています。



