法人設立時に忘れてはいけない青色申告の承認申請と期限を解説

前橋・高崎の清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。小規模事業者や創業者専門の税務・会計「まるっと代行」で、群馬県の小規模事業者や創業者を支援しています。
会社を設立するために法務局で登記手続きを行い、無事に会社の謄本(履歴事項全部証明書)が出来上がると、「これでようやく社長になれた!本業に集中できる!」と一息ついてしまう方が多いです。
しかし、会社設立の手続きは法務局で終わりではありません。会社ができたことを税務署や県税事務所、市役所へ報告する「設立の届出」というもう一つの大きな壁が待っています。
数ある届出書類の中でも、これを出し忘れると会社に致命的なダメージを与えてしまう、絶対に忘れてはいけない書類があります。それが「青色申告の承認申請書」です。
今回は、法人設立時にこの青色申告の承認申請書を出し忘れるとどのような悲劇が起こるのか、そこで多くの創業者が引っかかりやすい「期限の罠」について分かりやすく解説します。
目次
なぜ「青色申告」にしなければならないのか?最大のメリット
そもそも、なぜ絶対に青色申告にしなければならないのでしょうか。青色申告にすることで、税金面で会社に絶大なメリットがあるからです。
初年度の「赤字」を最大10年間繰り越して節税できる
会社を設立した初年度は、売上が安定しない一方で、パソコンを買ったり事務所を借りたりと初期費用が大きくかさむため、決算が「赤字」になることが珍しくありません。
過去のコラム(赤字でも毎年必ずかかる「均等割」とは?群馬県での金額と注意点)でもお話ししましたが、青色申告の承認を受けていれば、この初年度の赤字(欠損金)を最長10年間、翌年以降の利益と相殺することができます。
今年300万円の赤字が出て、来年500万円の利益が出た場合、300万円を差し引いて「200万円の利益」に対してだけ税金を払えばよくなるため、法人税を劇的に安く抑えることができるのです。
30万円未満のパソコンや備品をその年に全額経費で落とせる
通常、10万円以上のパソコンや備品を買うと、数年に分けて少しずつ経費にしなければならないというルール(減価償却)があります。
しかし、青色申告の会社(中小企業者等)であれば「30万円未満」のものを買ったその年に、一括で全額経費として落とすことができる特例が使えます。利益が出た年にこの特例を使って必要な備品を揃えることで、合法的に税金を減らすことが可能になります。
絶対に遅れてはいけない提出期限の罠
このようにメリットだらけの青色申告ですが、自動的に適用されるわけではありません。「青色申告にさせてください」という書類を税務署に提出し、承認を得る必要があります。そして、この提出期限が非常に厄介なのです。
原則は「設立日から3ヶ月以内」
新しく会社を設立した場合、青色申告の承認申請書の提出期限は「設立の日(登記した日)から3ヶ月以内」と決められています。
例えば、4月1日に設立した会社であれば、6月30日が期限となります。事業の準備に追われていると、3ヶ月なんてあっという間に過ぎてしまいます。
【要注意】1期目が3ヶ月未満の場合は「1期目の決算日まで」
さらに注意しなければならないのが、会社の1期目(設立から最初の決算まで)の期間が3ヶ月未満の場合です。
過去のコラム(会社設立の「決算月」はいつが良い?設立月の前月にすべき最大の理由)でお伝えしたように、消費税の免税期間を延ばすために決算月を工夫した結果、1期目が「1ヶ月」や「2ヶ月」と短くなることがあります。
もし10月1日に会社を設立し、11月30日を決算日にした場合、1期目は2ヶ月間しかありません。この場合の提出期限は「3ヶ月後の12月31日」ではなく、「1期目の決算日である11月30日(正確にはその前日)」に短縮されてしまうのです。
この例外ルールを知らずに「まだ3ヶ月経っていないから大丈夫」と思い込み、期限を過ぎてしまう創業者が後を絶ちません。
提出を忘れるとどうなる?白色申告の恐ろしい代償

もし、提出期限を1日でも過ぎてしまったらどうなるのでしょうか。
設立初年度の最も大きな赤字が「切り捨て」になる
期限に間に合わなかった場合、その会社はペナルティとして、1期目は強制的に「白色申告」という扱いになります。
白色申告になると、先ほどお話しした「赤字の10年間繰り越し」や「30万円未満の特例」といったメリットが一切使えなくなります。
つまり、起業初年度に発生した数百万円の大きな赤字が、来年以降の節税に全く使えず「完全に切り捨て」になってしまうのです。これは資金繰りに余裕がない小規模事業者にとって、目を覆いたくなるほどの大きな痛手です。
税務署は「忘れていますよ」と教えてくれない
「提出し忘れていたら、税務署から連絡が来るのでは?」と期待されるかもしれませんが、税務署から「青色申告の期限が迫っていますよ」と親切に教えてくれることは絶対にありません。
自分で期限を管理し、自分で書類を作成して提出しなければならないのが、会社経営の厳しい現実です。
「青色申告の承認申請書のポイント」まとめ
- 絶大な節税メリットがある
青色申告にすると「赤字の10年間繰り越し」など様々な特例が受けられます。 - 提出期限は原則3ヶ月以内
新しく会社を設立した場合、提出期限は原則「設立から3ヶ月以内」です。 - 1期目が短い場合は要注意
最初の決算が3ヶ月未満の場合は「最初の決算日まで」と期限が短くなります。 - 忘れると白色申告になる
提出を忘れると1期目が白色申告になり、初年度の大きな赤字が切り捨てられてしまいます。
このように、会社設立の手続きには「知らなかった」では済まされない、恐ろしい期限の罠がいくつも潜んでいます。社長の仕事は、税務署のルールを勉強して書類を作ることではなく、お客様に価値を提供して売上を作ることです。
自分で設立手続きをしていて不安になった方や、これから起業するので最初からプロに任せたいという方は、ぜひお早めにご相談ください。群馬県前橋市・高崎市の清水税理士事務所では、提携する司法書士、行政書士との会社設立登記から、税務署への青色申告の届出、そして日々の記帳の「まるっと代行」まで、一連の手続きをすべて請け負っています。「税理士はサービス業」ですので、専門用語を使わず、社長が本業に集中できる環境を全力で整えます。初回のご相談は無料ですし、しつこい営業などは一切いたしません。社長様が安心して経営のスタートを切れるよう、誠心誠意お手伝いいたします。
「法人設立の届出」に関するよくある質問
残念ながら、たった1日遅れただけでも1期目は「白色申告」での申告が確定してしまいます。遅れて提出した申請書は「2期目からの青色申告」として処理されることになります。税務署に事情を説明しても、期限の延長や救済措置は基本的に認められません。
目的は似ていますが、要件やメリットが少し異なります。個人事業主の青色申告で有名な「最大65万円の青色申告特別控除」という制度は、法人にはありません。法人の場合、最大のメリットは「赤字の繰り越し(最長10年)」と「少額減価償却資産の特例(30万円未満)」になります。
はい、複数あります。「法人設立届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」などを税務署へ提出するほか、源泉所得税を半年に1回にまとめる「納期の特例の承認に関する申請書」なども一緒に出しておくのが一般的です。さらに、税務署だけでなく、県税事務所や市役所にも設立の届出が必要です。
はい、必要です。株式会社であっても合同会社であっても、税務上の扱いは同じ「普通法人」ですので、青色申告のメリットを受けるためには全く同じ書類を期限内に提出しなければなりません。
はい、e-Taxを利用してオンラインで提出することが可能です。オンラインであれば税務署に行く手間が省け、控えもデータで残るため便利です。当事務所で設立後の届出を代行させていただく場合も、すべて電子申告にて確実かつスピーディーに提出いたします。
「会社を作ろうと決めた段階(定款を作成する前)」がベストです。資本金の額や決算月の設定によって税金が大きく変わるため、登記をする前に税理士のアドバイスを受けることで、最も有利な形で会社をスタートさせることができます。
執筆者紹介

税理士 清水 一臣しみず かずおみ
清水税理士事務所 代表
群馬県前橋市・高崎市を中心に活動する清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。元営業マンの経験を活かし、社長ひとりや従業員数名の小規模な会社様の税務・会計を「まるっと代行」し、本業に集中できるようサポートしています。




