赤字でもかかる均等割とは?前橋市のリアルな税額と注意点

前橋・高崎の清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。小規模事業者や創業者専門の税務・会計「まるっと代行」で、群馬県の小規模事業者や創業者を支援しています。
「今年は残念ながら赤字だったから、税金は払わなくていいですよね」
前橋市や高崎市の経営者様と決算の打ち合わせをしていると、時折このようなお言葉をいただくことがあります。
確かに、利益に対してかかる「法人税」は、赤字であればゼロになります。しかし、残念ながら「赤字なら税金が1円もかからない」というのは誤解です。利益が出ていようがいまいが、会社という組織が存在しているだけで毎年必ずかかってくる税金があります。それが「法人住民税の均等割(きんとうわり)」です。
今回は、赤字でも逃げられない税金「均等割」の仕組みと、ネットの情報には載っていない「前橋市ならではのリアルな金額」、そして赤字の時こそ注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
なお、消費税も赤字で納税することがありますが、今回は「均等割」の解説のみさせて頂きます。
目次
利益がゼロでも納税!?法人住民税の均等割とは
会社にかかる税金にはいくつかの種類ありますが、その考え方は大きく分けて2つあります。
法人税は「利益」にかかるが、均等割は「存在」にかかる税金
一番馴染みがある「法人税」は、会社の儲け(利益)に対して課税されます。そのため、利益が出ていない赤字の会社は、払う必要がありません。
一方、今回お話しする「均等割」は、会社の利益の額には関係なく、その地域に「会社が存在していること」に対してかかる税金です。
なぜ高い?(公共サービスの会費)
「利益がないのに税金を払うなんて理不尽だ」と感じるかもしれません。しかし、均等割には「会社も地域社会の一員として、行政サービス(道路、消防、警察など)を利用しているのだから、その会費を負担してください」という考え方があります。
いわば、マンションの管理費や町内会費のようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。空き部屋(赤字)であっても、維持費は払わなければならないのと同じ理屈です。
【前橋市のリアル】実は他県よりちょっと高い!?均等割の金額
では、具体的にいくら払う必要があるのでしょうか。ここがこの記事で一番お伝えしたいポイントです。
ネットでは「7万円」と書いてあるけれど……前橋市は「8万1,400円」
起業に関するネットの記事や本を読むと、「均等割は最低で年間7万円かかります」と書かれていることがほとんどです。しかし、これを信じて前橋市で会社を設立し、いざ決算を迎えると「あれ?7万円じゃない!」と驚くことになります。
前橋市に本店を置く、資本金1,000万円以下(かつ従業員50人以下)の小規模法人の場合、年間の均等割は「8万1,400円」になります。実は、全国標準より少しだけ高いのです(笑)。
なぜ高い?「ぐんま緑の県民税」と市の「超過課税」
なぜ全国標準の7万円より高いのかというと、群馬県や前橋市独自の税金が少し上乗せされているからです。具体的には以下の内訳になります。
- 群馬県へ(法人県民税)
21,400円(※標準20,000円 + ぐんま緑の県民税1,400円) - 前橋市へ(法人市民税)
60,000円(※標準50,000円 + 前橋市の超過課税10,000円)
合計:81,400円
たとえ1円も利益が出ていない大赤字の年であっても、前橋市に会社がある限り、この「約8万円」は必ず納税しなければなりません。資金繰りの予定には、常にこの「固定費としての税金」を組み込んでおく必要があります。
均等割の金額を左右する資本金の壁に注意

この均等割、実は「資本金の額」によって金額が階段状に上がっていく仕組みになっています。
資本金1,000万円を超えると、8万円が「約21万円」に跳ね上がる
過去のコラム(会社設立時の「資本金」は少なくても大丈夫?1円起業の罠と適正額)でもお伝えしましたが、資本金を1,000万円より大きく設定するかどうかで、この均等割の額が大きく変わります。
もし資本金が1,000万円を超えると、先ほどの合計額(8万1,400円)が、一気に「20万9,500円」にまで跳ね上がります。赤字でも毎年かかるコストが, 資本金の設定一つで年間12万円以上も変わってしまうのです。
「見栄えが良いから」という理由だけで無理に資本金を大きくしてしまうと、このような目に見えにくいランニングコストに苦しめられることになります。
赤字でも確定申告を絶対にすべき理由
「均等割だけ払えばいいなら、面倒な申告作業は適当でいいかな?」と考えるのは大変危険です。むしろ赤字の時こそ、きっちりと正確な確定申告を行うことで、大きなメリットが得られます。
赤字(欠損金)を翌年以降に繰り越して節税できる
青色申告を行っている法人の場合、その年の赤字(欠損金)を最長10年間、翌年以降の利益と相殺することができます。
例えば、今年が300万円の赤字で、来年500万円の利益が出たとします。この時、去年の赤字を差し引くことで、来年の課税対象となる利益を200万円に抑えることができ、法人税を大幅に安くできるのです。
申告をしないと「青色申告」が取り消されるリスクも
2年連続で期限内に申告を怠ると、青色申告の承認が取り消されてしまいます。そうなると、先ほどの赤字の繰り越しができなくなるだけでなく、多くの節税メリットを失うことになります。
「赤字でもかかる税金(均等割)」まとめ
- 赤字でも毎年必ずかかる
法人住民税の均等割は、会社の利益に関係なく赤字であっても毎年必ずかかります。 - 前橋市は「8万1,400円」
ネットでは7万円とよく言われますが、前橋市の場合は各種上乗せがあり8万1,400円かかります。 - 「資本金1,000万円」に壁がある
資本金が1,000万円を超えると、この負担が「約21万円」に大幅アップします。 - 赤字の時こそ正確に申告する
きっちり申告することで、赤字を繰り越して翌年以降の大きな節税に繋げられます。
「赤字だから心配ない」と放置するのではない、均等割という固定費を把握し、将来の利益を守るために正しく申告することが、経営者としての務めです。
前橋市・高崎市で税理士をお探しなら、清水税理士事務所へ。当事務所では社長に代わって日々の面倒な経理を「まるっと代行」し、正確な決算・申告をサポートしています。ネットの一般論ではなく、地元群馬のリアルな数字に基づいた納税予測を立て、決算直前に慌てることがないよう伴走いたします。
「税理士はサービス業」ですので、専門用語は使いません。経営の不安や税金の仕組み、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。初回無料相談はいつでも受け付けております。社長様が本業に集中し、次の一手へ繋げられるよう、全力でバックアップいたします。
「赤字と均等割」に関するよくある質問
原則として免除制度はありません。利益が出ていない会社であっても、行政サービスを維持するための負担として納める必要があります。公共法人や特定の非営利法人などには特例がありますが、一般的な営利目的の株式会社や合同会社には免除規定はありません。
休眠(事業を行っていない状態)の届出を税務署や役所に提出している場合、自治体の判断により均等割が免除されるケースがあります。ただし、自動的に免除されるわけではなく自治体への申請が必要になるため、事前にお住まいの市役所や当事務所へご相談ください。
はい、変わります。均等割の金額は「事業年度の末日現在」の資本金等の額で判定されます。増資をして1,000万円を超えた場合は、その年度から均等割の負担が増えることになります。
個人事業主の場合も住民税には「均等割」がありますが、所得が一定以下(赤字など)であれば非課税になる仕組みがあります。法人の場合は赤字でも必ず「約8万円(前橋市の場合)」かかる点が、個人事業主との大きな違いです。
はい、変わります。法人の市民税の場合、資本金等の額が同じであっても「従業員数が50人を超えるかどうか」で金額が変動します。小規模事業者の多くは50人以下ですので、今回ご紹介した最低ランクの金額になることがほとんどです。
決算月が終わってからでは対策が限られます。決算の2〜3ヶ月前には一度数字を整理し、「どれくらいの赤字になりそうか」「均等割を含めた納税額はいくらか」を予測しておくのがベストです。早めにご相談いただければ、翌期を見据えたアドバイスが可能になります。
執筆者紹介

税理士 清水 一臣しみず かずおみ
清水税理士事務所 代表
群馬県前橋市・高崎市を中心に活動する清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。元営業マンの経験を活かし、社長ひとりや従業員数名の小規模な会社様の税務・会計を「まるっと代行」し、本業に集中できるようサポートしています。




