介護、福祉事業を開業する際の注意点

群馬県前橋の清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。
小規模事業者や創業者専門の税務・会計「まるっと代行」で、群馬の小規模事業者や創業者を支援しています。
介護・福祉の事業は社会的意義の大きい事業ですが、そのために法的な規制も多くあります。
例えば、
- 法人でないと開業できない
- 国保連からの入金にタイムラグがある
- 資格を持った人など、人員基準
このコラムでは介護・福祉事業の会計や税務に多く携わってきた税理士が、開業をご検討中の方に向けて、注意すべき点について解説致します。
弊社は小規模事業専門です。弊社における小規模事業とは、事業主と従業員を合わせて数人~10人未満の事業所のことです。そのため、主に次のような業種を対象にこのコラムを書いています。
- 独立系ケアマネージャー
- 訪問看護
- デイサービス、デイケア
- 放課後デイサービス
注意点1:法人の種類をどうするか
これから介護・福祉事業の開業を検討している方は、法人以外では開業できないことをご存知だと思います。(一部の自費サービスだけ提供する場合は除きます)
法人といっても色々な種類がありますが、小規模な介護・福祉事業の場合で想定されるのは次のうちのどれかです。
- 株式会社
- 合同会社
- NPO法人
- 一般社団法人
それぞれの特徴を介護・福祉事業の観点からまとめてみますが、お勧めは合同会社です。理由は、介護・福祉に合う非営利のイメージと設立費用の安さです。プラスアルファとして会計や税金の計算方法が一般的な株式会社と同じで比較的わかりやすいのもあります。
株式会社
- 営利団体のイメージ
- 設立費用は他に比べてやや高い
合同会社
- 非営利のイメージ
- 設立費用は株式会社より安い
- 会計/税金は株式会社と同じ
NPO法人
- 非営利のイメージ
- 設立費用は株式より安い
- 会計/税金はやや特殊
- 協力者が10人以上必要など、設立の難易度が高く時間もかかる
一般社団法人
- 非営利のイメージ
- 設立費用は株式より安い
- 会計/税金はやや特殊
どの種類の法人でも言えることですが、何人か共同で開業する場合は注意が必要なことが一つあり、それは代表者を複数人にするケースです。
注意点2:代表者が2人以上

代表者のイメージは「社長」で、多くの方が社長は一人しかいないと思っています。しかしその認識が実は違っていて何人でも社長になれます。
特に介護、福祉事業の場合は人員基準の関係で複数人でないとそもそも開業できないケースが多いです。そのため、発起人からすると協力してくれる人を、従業員というよりは一緒に経営する人と捉えがちなのです。
その考え自体は全く間違ってはいないのですが、自分とその相手とまとめて代表者にしてしまうと後で何かあったときにトラブルのもとになります。想定外なことがあるのが経営の常ですので、ともに開業する大事な人だからこそ代表者は自分だけにしてトラブル防止をお勧めします。
注意点3:資金繰りと融資
介護・福祉事業で収入の柱となるのは国保連からの入金ですが、口座に着金するまで実に2ヶ月のタイムラグがあります。
一方で、給与や事業所家賃などの経費は容赦なく毎月出ていきます。さらに、パソコンなどの備品や事業所を借りるための契約金など、開業初期にかかるまとまった資金も必要です。
この状態で2ヶ月のあいだ国保連からの入金無しはかなり厳しいですし、利用者様の自己負担金と個人貯蓄のみで乗り切れる人はほぼいません。そのため、介護、福祉事業の場合は融資(事業資金の借入)がほぼ必須になります。
そして、融資のポイントは「いくら借りるか」と「いつ借りるか」の2点です。
いくら借りるかは業種や自己資金の額によってケースバイケースですが、「いつ借りるか」は決まっていて、答えは「早いほど良い」です。なぜなら給与や家賃は待ったなしにも関わらず、融資は申込みから入金まである程度の時間がかかるからです。
では具体的にどう行動すればいいでしょうか?これは、開業を決意したら法人設立前に金融機関や税理士などに相談すべきです。そもそも法人ができていないので正式な申し込みをしたり、お金を借りることはできませんが、事前に金額や時期の相談をすることでその後がスムーズになります。
注意点4:インボイスに登録すべきか
介護、福祉事業の方から「インボイスに登録しなくていいでしょうか」と聞かれることがありますが、自費収入や介護・福祉以外の収入がなければインボイスに登録する必要はありません。
なぜなら、国保連や自治体などから入金される介護福祉関係の収入は消費税がかからない(非課税)だからです。インボイスは消費税を払う事業者を対象にしています。
ただし注意点があります。それは、自費サービスを提供している場合や介護福祉とは別の事業を行っている場合です。収入額や取引先にもよるので、別収入がある=インボイスとは限りませんが、開業時点で別収入の予定がある方は税理士などに相談した方がいいです。
注意点5:会計ソフトを導入すべきか

結論から言いますと今回のコラムで想定している、小規模な介護・福祉事業様の場合は導入せず税理士に任せた方がいいと思います。(もちろん弊社でなくても構いません。ご自身に合った方がいいです)
理由はいくつかあるのですが、開業する方はほとんど以下にあてはまるからです。
- キャリアが現場で会計などの管理業務はノータッチだった
- スタートから事務専門の人を雇うのは難しい
- レセプト請求や給与計算は自分でしなければならない
- 自分も現場で仕事をする
この状況で会計ソフトを導入して自分で帳簿を作るのは不可能だと私は思います。
会計ソフトを導入してもしなくても税理士との契約なしで法人を経営するのはなかなか難しいので、せめて帳簿作成などの手間は省略してご自身の事業に集中することをお勧めします。
「介護・福祉事業を開業する際の注意点」まとめ
- 法人の種類
設立費用が安く、非営利のイメージがあり、税務会計が分かりやすい「合同会社」が最もおすすめ。 - 代表者の人数
共同開業であっても、将来の経営トラブルを防ぐために代表者は自分1人にする。 - 資金繰りと融資
国保連からの入金には2ヶ月のズレがあるため融資は必須。法人設立前に早期相談を行う。 - インボイス制度
主な収入(介護・福祉関係)は非課税のため登録不要。ただし自費サービス等がある場合は要相談。 - 会計ソフトの導入
事務負担が非常に大きいため自身での導入は避け、帳簿作成を含めて税理士に外注するのが賢明。
清水税理士事務所では、会社設立時の役員報酬のシミュレーションから、設立後の面倒な経理の「まるっと代行(丸投げ)」まで、小規模事業者様をトータルでサポートしております。小規模な会社様を全力でサポートするため、初回のご相談は無料で承っております。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思うようなことでも、お気軽にお問い合わせください。しつこい営業は一切いたしません。
「介護・福祉事業の開業」に関するよくある質問
原則として法人でないと開業できません。一部の自費サービスだけを提供する場合は除きます。
サービス提供から口座に着金するまで約2ヶ月のタイムラグがあります。その間の給与や家賃に備えて、法人設立前から金融機関や税理士に融資の相談をしておくのがおすすめです。
国保連や自治体から入金される介護・福祉関係の収入は非課税のため、それ以外の収入がなければ登録は不要です。自費サービスや別事業の収入がある場合は、税理士などにご相談ください。
執筆者紹介

税理士 清水 一臣しみず かずおみ
清水税理士事務所 代表
群馬県前橋市・高崎市を中心に活動する清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。元営業マンの経験を活かし、社長ひとりや従業員数名の小規模な会社様の税務・会計を「まるっと代行」し、本業に集中できるようサポートしています。





