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社会保険料を節約するために、役員報酬で気をつけるべきポイント

前橋・高崎の清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。小規模事業者や創業者専門の税務・会計「まるっと代行」で、群馬の小規模事業者や創業者を支援しています。

これから法人を設立する方や、既に設立した方との打合せで必ず話題にあがる役員報酬について、以前 役員報酬の決め方。設立3ヶ月ルールと社会保険料の罠を解説 というコラムを書きました。

こちらのコラムでは主に、ルールを守って役員報酬を決めないと経費にならない、報酬を払わなくても所得税や社会保険料は払わなければならない、といった制度面について解説しました。

この役員報酬と密接に関係するのが社会保険料で、これは役員報酬額を上げるほど負担も増えます。
そのため、「生活費としてこれくらいの役員報酬にしたいけれど、社会保険料が気になる・・・」といった声をよく聞きます。

そこで今回は、この社会保険料を節約する方法について解説します。

 

税金と社会保険料の違い

税金といっても色々な種類がありますが、ここで言う税金=所得税です。なぜなら所得税と社会保険料、どちらも給料=役員報酬にたいしてかかるものだからです。

所得税と社会保険料、名称も違いますし法律も管轄する役所も違う別物です。ただ、社長の立場からすると、どちらもお金が出ていく公的支出という意味ではほぼ同じものと考えていいでしょう。

ただ、意味は同じですが、計算方法はかなり違います。

所得税の計算方法

所得税は役員報酬から各種控除額を引いた残りの金額に対してかかります。そのため控除が多いと負担感が少なく感じますが、不動産収入など役員報酬以外の収入があるとそれも合算して計算します。

社会保険料の計算方法

社会保険料は役員報酬から何も引かずにダイレクトに保険料が決まります。もう少し具体的に言いますと、保険料額表というものがあり役員報酬〇〇円に対して保険料□□円というように決まっています。家族が多いと軽減されるとか税金のような考えはありませんが、給料以外の収入に対してはかかりません。

この保険料額表は都道府県ごとにあって、令和8年7月現在で群馬県の最新版はこちらです。

群馬県の保険料額表

 

ここから社会保険料を節約する方法について解説したいと思いますが、前提として役員報酬の上限が月額50万円前後くらいまでとします。

この理由は、所得税は累進税率といって収入が増えるほど税率が高くなるため、役員報酬が月に数百万円のような方は高税率になり社会保険料を節約すると、それ以上に所得税が増える可能性が高いためです。また、これから法人を設立したい方や、設立したばかりの方がいきなり百万円単位の役員報酬にすることはほとんどないからです。

節約その1 微妙な金額の役員報酬

微妙な金額の役員報酬と聞くとなんのことか意味がわからないと思いますので、群馬県の保険料額表をもとに具体的な数字を出して説明します。

たとえば、役員報酬を月25万円に決めたとします。これを先程の表にあてはめると本人負担額は月に36,673円(40歳未満の場合)ですが、実は269,999円でも同じ36,673円の保険料なのです。一方で所得税は少し増えますが、月に700円程度なのであまり負担には感じないはずです。手取額を比較するとその違いがわかりやすいです。

社会保険料と所得税を引いた手取り額

  • 月250,000円の手取額→210,361円
  • 月269,999円の手取額→229,651円

なぜこうなるのかと言うと、社会保険料は月250,000円~269,999円=36,673円、 270,000円~289,999円=39,494円 というように表にもとづいて一定の金額範囲内で段階的に保険料が決まる方式だからです。

もし、役員報酬を270,000円にすると269,999円と1円しか変らないのに手取りは3,000円近く減ります。そのため、保険料額表の金額範囲内のうちできるだけ上限ギリギリにするのが節約に有効なのです。

ただ、実際に役員報酬を決める打合せをする際、1円単位にすることはほとんどありません。あまり細かい金額だと後日いくらだったかわからなくなってしまうなどミスの原因にもなるからです。たとえば上記の場合は269,000円や260,000円など千円単位か万円単位にすることが多いです。

節約その2 自宅兼会社の場合は家賃を自分に払う

持ち家の自宅を法人本社にして仕事をしている場合、法人から自分に対して家賃を払うことで社会保険料を節約できます。これは、社会保険料は役員報酬に対してかかりますが家賃収入にはかからないという規定を利用した方法です。一方で所得税は若干増えますが、前提として50万円前後くらいまでの役員報酬であれば社会保険料節約額の方が大きくなります。

自分に対して家賃を払うのは感覚として不思議に感じますが、法人と社長個人は法律上は別人ですので、法人が仕事場所として使っている部分に対して、持ち主である社長に家賃を払うことは問題ありません。ただし、相場などを考慮して適正額にする必要があります。

たとえば役員報酬を250,000円にするよりも、役員報酬200,000円+家賃50,000円とした方が手取額は増えます。

ただし、社長個人の確定申告をしなければならないなどデメリットもあります。

節約その3 自宅兼会社が賃貸の場合は社宅

賃貸の自宅を法人本社にして仕事をしている場合、自宅兼会社の賃貸契約を個人から法人契約に変えて社宅にすることで社会保険料を節約できます。

社宅とは、法人住宅を借り上げて社員や役員に貸す制度です。社長一人の法人でも、法人が住宅(=今住んでいる家)を借りて社長に貸すことができます。

なぜ社宅にすると節約できのでしょうか?たとえば、物件の家賃が10万円だとします。これを法人契約に変えると10万円の家賃は法人の経費となり法人が払うので、生活費が10万円減るのでう。生活費が減るということは役員報酬も減り社会保険料の節約が可能です。

注意点として、法人が10万円を払うだけで終わりではありません。社長個人は10万円を大家さんに払わなくて良くなる一方で、今度は新しい大家さん=自分の会社に家賃を払わくてはいけません。自分の会社に払う家賃をいくらにするのかというのは多くの論点があり詳細は省略しますが、元の10万円よりは低額になるケースがほとんどですので、その差額分の生活費が必要なくなります。

ただし、大家さんが法人契約を許可してくれるかどうか、許可の場合に家賃などの条件は同じか、契約し直しにかかるコストがかかるなど注意点もありますので事前確認が重要です。

節約その4 出張が多い場合は旅費日当

出張が多い方は、旅費日当というものを法人から社長個人に払うことで社会保険料を節約できます。

旅費日当とは、遠方に仕事ででかけた場合に1日につき◯円という手当を法人から個人に払うことができる仕組みで、貰った社長個人はその収入に対して所得税も社会保険料もかかりません。なぜそんなことができるのかというと、出張する場合には身の回りの日用品や食事など普段と違うお金がかかる一方で、個人の食事や日用品は会社の経費にできないので、日当を支給してその中から食事代などにあてて下さいという制度なのです。また、ご苦労代という側面もあります。

たとえば旅費日当を1日5,000円と決めたとします。そして実際に出張して個人の食事や日用品に2,000円かかったとすると差額の3,000円は自分の収入になり生活費など自由に使えますが、所得税も社会保険料もかかりません。

注意点として、1日あたりの日当はいくらまでと法律ではっきりと決まっていませんので極端に高額にすれば税務上問題が生じます。そのため税理士と相談したり相場を調べてみたり適正額にすることが重要です。

今回は、社会保険料の節約を中心に自宅兼本社や旅費日当まで解説しましたが、いずれも社会保険料だけでなく所得税や法人税、さらには自宅の賃貸契約の見直しなど検討することは多岐にわたります。

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執筆者紹介

代表

税理士 清水 一臣しみず かずおみ

清水税理士事務所 代表

群馬県前橋市・高崎市を中心に活動する清水税理士事務所、代表税理士の清水一臣です。元営業マンの経験を活かし、社長ひとりや従業員数名の小規模な会社様の税務・会計を「まるっと代行」し、本業に集中できるようサポートしています。

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